冬の少年(2000/1/10) 少年達はその日約束していた。 次の年に一緒に卒業研究をする事を。 その少年は「うん」と返事をした。 次の日その少年は学校に来なかった。 授業が始まる前に担任の教師が来て告げた。 「彼は昨日、不幸に逢って命を落とした」と。 事故では無い、なぜかそう直感した。 彼とは1年しか一緒にいなかったが、 彼は普段はおとなしく無口なゆえ、 周りから罵声を浴びせられるのも毎日の事だった。 通夜へ行く途中少年達の家へ寄った。 そこで少年の選んだ行動を知った。 母親と同じ冬の池に身を沈めたとの事だった。 後を追った?、どうして?。 だが、そんな事はどうでも良かった。 何故自分は力になれなかったのか? 何故少年の心を読み取れなかったのか? 何故少年は自分に心を打ち明けなかったのか? 少年の亡骸を前にして悔やんだ。 自分の不甲斐なさを憎んだ。 自分の力のなさを憎んだ。 自分の存在を憎んだ。 今も冬になると思い出す。 あの寒い冬の輝く星空。 未だ悔やみ続けながら見上げる、 あの時に似た真っ黒な寒い冬の空。